こん**は、iOS9がリリースされ早速インストールした@wine_and_webことhirok-kです。
2015年9月16日にリリースされたiOS9は、これまでような新機能目白押しの新OSではありませんが、その中にあって良くも悪くも注目を浴びているのがコンテンツブロッカー機能です。コンテンツブロッカー自体はこれまでも存在していましたが、OSそのものに加えられた機能ということで無視することができないものとなっています。そこでこのコンテンツブロッカー機能を実際にテストし、その影響範囲と回避策(のようなもの?)を考察してみました。
以下、特に記述のない限りは、Safari=ブラウザアプリとしてのSafari、Safari (in-app)=何らかのiOSアプリ内で呼び出されたSafariの機能、を意味しています。
目 次
コンテンツブロッカーとは
コンテンツブロッカーとは、ウェブページ上にある有意なコンテンツ以外のコンテンツをブロック(読み込み阻害)することにより、転送容量を小さくする機能です。
これまでiOSだけでなくAndroidでもいくつかのブラウザやコンテンツブロッカーアプリ、アドオン(プラグイン)がありましたが、細かい機能面は別途サードパーティーが提供するアプリに委ねられるもののブラウザまで含めたOSとしてこの機能を搭載したのが、iOS9です。
パブリックベータによるテストが行われている時からこの機能が取り沙汰されていましたが、iOS9が公開されたことによりその反響が日に日に大きくなっています。
なおこの機能が使用可能なのは、次の機種のみとなっています。
- iPhoneシリーズ 5s, 6, 6 plus, 6s, 6 s plus
- iPadシリーズ mini2〜4, Air, Air2, Pro
- iPodシリーズ 第6世代以降
実際にテストしてみた結果
各所にあるiOS9のパグリックベータ、そして配布されたばかりのiOS9の使用インプレッションを参考に、実際にテストを行ってみました。
テスト環境
- iPhone 5s 32GB, iOS9
- コンテンツブロッカーアプリ 1Blocker , Adamant
- 使用ブラウザ Safari, Safari (in-app), Chrome
※in-appとはiOSアプリ内でSafariの機能を呼び出しているもの
また比較対象として次の環境でもテストを行いました。
- iPhone 5s 32GB, iOS9
- コンテンツブロッカーアプリ Weblock
※従来からあるコンテンツブロッカーアプリでiOS8上でも稼動し、WiFi環境でのみ機能 - 使用ブラウザ Safari, Safari (in-app), Chrome
※in-appとはiOSアプリ内でSafariの機能を呼び出しているもの
広告は、Google Adsence, Amazon, Ninja, Nend, Fluct (Adingo)を主な対象としました。
アクセス解析は、Google Analytics, WordPress向けプラグインJetpack Analyticsを対象としました。
結果
非WiFi | WiFi | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
広告 | GA | Jp | 広告 | GA | Jp | ||
Safari | 1Blocker | ||||||
Adamant | |||||||
1Blocker+Adamant | |||||||
Weblock | |||||||
Chrome | 1Blocker | ||||||
Adamant | |||||||
1Blocker+Adamant | |||||||
Weblock | |||||||
Safari (in-app) | 1Blocker | ||||||
Adamant | |||||||
1Blocker+Adamant | |||||||
Weblock |
GA = Google Analytics, Jp = Jetpack
ブロックされたのは・・・
では実際にブロックされたのは、どのようなコンテンツなのでしょうか。
広告
テストの結果、Amazonの商品紹介のみいずれの場合においてもブロックされませんでしたが、iOS9のコンテンツブロッカー機能を利用しても、また従来のコンテンツブロッカーアプリを使用しても、ほぼブロックされました。正確には、一部ブロックされない例もありましたが、コンテンツブロッカーアプリには、ブロックされない際の通報フォームが備えられているため、いずれそれもブロックされるとみて間違いないでしょう。
したがって、大手広告配信会社による広告はほぼブロックされると考えられ、コンテンツの提供によりその対価を得ることが、金額の多寡を問わず少々厳しくなることは間違いないでしょう。
アクセス解析
テストの結果、iOS9のコンテンツブロッカー機能を利用しAdamantを有効にした場合に、Google AnalyticsもJetpack Analyticsもブロックされました。中でも後者のJetpack for WordPressのアクセス解析ですらもブロックされていることに驚きました。
他のアクセス解析サービスでまだ稼動できるところもあるかと思われますが、そちらもいずれブロックされると考えられます。したがって、アクセス解析を行いコンテンツのブラッシュアップを図ることもやはり難しくなると考えて良さそうです。
影響があったのはほぼSafariのみ
例外をあげるならば、従来のコンテンツブロッカーアプリを利用している場合にはChromeを利用していても広告はブロックされるという程度で、アクセス解析には全く影響ありませんでした。
その影響範囲と回避策
影響範囲はどれくらいか
- webへのアクセスの2/3がスマホ/タブレット
- 国内のiOSシェアが約50%
- iOSでのSafariのブラウザシェアが少なくとも約90%(in-app含む)
であることから、スマホ/タブレットによるアクセスの内約30%が影響を受ける可能性があります。
iOS9の普及速度にもよりますが、こちらの記事にもあるようにかなり急速なスピードでiOS9のインストールが増加しているとみて間違いなさそうです。そこでiOS8とiOS7との割合から類推すると、近い将来にiOS端末のうち約80%にはiOS9がインストールされるとみて考えますと、ウェブへの全アクセスの内の約25%がコンテンツブロッカーによって影響を受けると考えられます。
これが回避策(のようなもの?)
つまり、Safariを使用しないコンテンツとすることができれば、その影響を(少なくとも現在のところは)受けないとも考えられます。
これまでも2chのまとめ閲覧アプリなど、ウェブベースのコンテンツを閲覧するためのアプリがありましたが、これと同じ考え方です。Safariを利用しないようにするために、サイト専用のアプリを用意しその内部のSafari (in-app)を通じて閲覧させるというのが当面の解決策と考えられるのではないでしょうか。
まとめ
全体のアクセス数のうち、約25%のデータが取得できないというのは、かなりの痛手となります。いわば、統計情報で25%の誤差があるようなもので、参考になりはするものの以前ほどの有意さを持たなくなることを意味します。
またコンテンツの提供に対する対価として金銭を得ることも従来の25%減になってもおかしくなく、現在のように検索すれば大抵の情報が得られる状態が今後も存続できるか先行きが不透明になるといっても過言ではないでしょう。
アプリの開発を行うことで回避できると考えられるものの、開発者登録を行った上で審査を経て、そしてApp Storeにアップしダウンロードをしてもらうという煩雑な手順を踏まねばならず、万人が行える対策であること明白です。
いずれにしても、これまでの考え方でコンテンツをアップするという行為に対して、何らかの影響がでるのは間違いないのではないでしょうか。
ウェブの世界は生き馬の目を抜くような激しい争いと進歩のある世界ですので、なんらかの対策が登場しイタチゴッコになるかもしれません。今後の動向に要注目です。