シャンパーニュのwikiより詳しい簡単なまとめ[2] 5


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シャンパーニュの簡単なまとめ

クリスマスや誕生日など、お祝いごとの席には欠かせないシャンパーニュ(シャンパン)。発泡性のワインなら何でもかんでも「シャンパン」と呼ばれてしまいますが、ここできちんとシャンパーニュについて知っておいて損はないでしょう。

日本語wikiのシャンパンの項目よりもより詳しくを目標に、その基礎についてまた楽しみ方について何回かに分けてまとめてみます。

第2回目は、エチケットの読み方と生産地についてです。

シャンパーニュののwikiより詳しい簡単なまとめ 連載記事

シャンパーニュのwikiより詳しい簡単なまとめ[1] シャンパーニュ(シャンパン)とは何か?とその歴史について
シャンパーニュのwikiより詳しい簡単なまとめ[2] シャンパーニュ(シャンパン)のエチケット(ラベルの読み方と生産地について
シャンパーニュのwikiより詳しい簡単なまとめ[3] シャンパーニュ(シャンパン)で使用されるブドウ品種と製法、そして楽しみ方について

エチケット(ラベル)の読み方

シャンパーニュのイメージ

エチケット(ラベル)は一般にこのような構成になっています。
エチケット(ラベル)の構成
レイアウトが異なる場合もあるため、別の例もこちらに載せておきます。
異なる構成のエチケット

# 項目 記載義務 説明
1 原産地 必須 通常はAppellation Contrôléeとともに記載されますが、シャンパーニュについては例外でChampagneと記載するだけでAOC名となることが認められています。
生産者によっては、Appellation Champagne Contrôléeと記載している場合もあります。
2 収穫年 任意 特定の年に収穫されたブドウが80%以上使用されている場合、収穫年が明示されることがあります。
3 甘辛度 任意 計6段階ある甘辛度が多くの場合エチケットに記載されています。
4 生産者名
ブランド名
必須 生産者または生産会社の名称、そしてそのブランド名の両方、または前者が記載されます。
なおブランド名の記載は任意となっています。
5 種別 任意 このエチケットが付けられたワインの特徴を表す語が記載されることがあります。特に高級なクラスや拘りがある生産者のものによく見られます。
6 生産地 任意 ブドウの栽培地が明記可能な場合は記載されることがあります。なお、生産者の所在地が以下の9以外に記載されることもあり注意が必要です。
7 度数 必須 このエチケットが貼られているワインのアルコール度数です。
8 生産国 必須 この場合はフランス産であるため、それが記載されます。
9 生産者情報 必須 生産者の住所、またシャンパーニュでは生産者番号も必ず記載されます。
10 内容量 必須 このエチケットが貼られているボトルの内容量です。

甘辛度

甘辛度は人の口によって決められているわけではなく、出荷前に添加される1リットルあたりの糖分量によってその呼び名が定められています。現在の規定は2009年に改訂されたもので、以下のようになっています。

糖分量 呼称
3g/L以下 ブリュット・ナチュール(brut nature), パ・ドゼ(pas dosé), ドサージュ・ゼロ(dosage zéro)
一般に極辛口とされます。
6g/L以下 エクストラ・ブリュット(extra-brut)
一般に極辛口とされます。
12g/L以下 ブリュット(brut)
一般に辛口とされます。
12〜17g/L エクストラ・セック(extra-sec)またはエクストラ・ドライ(extra-dry)
一般に中辛口とされます。
17〜32g/L セック(sec)
一般に中甘口とされます。
32〜50g/L ドゥミ・セック(demi-sec)
一般に甘口とされます。
50g/L以上 ドゥー(doux)
一般に極甘口とされます。

ゴッセ・ブラバン ブリュット・ナチュール ペウ・シモネ エクストラ・ブリュット テタンジェ セック ノクターン マリー・ノエル・レドリュ ドゥミ・セック ジャック・ボーフォール ドゥー

種別

シャンパーニュが持つ様々な特性を端的に表すために、各種の種別名称が設定されています。

種別名称 説明
ブラン・ド・ブラン
Blanc de Blancs
白ブドウであるシャルドネのみから作られたシャンパーニュ。
繊細さとフレッシュさ、そして生産地にもよりますがミネラル感が身上のシャンパーニュとなります。
他にピノ・ブランから作られたシャンパーニュもブラン・ド・ブランを名乗る場合があります。
シャンパーニュに使用可能なブドウについては、第3回で詳しく触れています。
ブラン・ド・ノワール
Blanc de Noirs
黒ブドウであるピノ・ノワール、ピノ・ムニエの一方または両方から作られたシャンパーニュ。黒ブドウを使用していても、果皮をすぐに剥がすため色づきはほとんどしていません。
現在ではピノ・ノワール100%のものが一般的となっていますが、ピノ・ムニエ100%のものもあり、長きにわたって後者が主役となっていました。
力強さとしっかりとした構造、そして果実味が身上のシャンパーニュとなります。
ロゼ・シャンパーニュ
Rosé Champagne
いわゆるピンク色のシャンパーニュ。色付けを行う方法が2種類あり、フランス国内でも2種類の醸造法が許されているのはシャンパーニュのみとなっています。
ロゼ・シャンパーニュの製法については、第3回で詳しく触れています。
ミレジメ
Millesimé
いわゆるヴィンテージ・シャンパーニュ。特定の年(基本的に良年)に収穫されたブドウが80%以上使用されているワインで構成されるシャンパーニュ。
生産者の威信をかけたものとして高級クラスのシャンパーニュに多くラインナップされており、長い熟成に耐えられるものが多く見られます。
グラン・クリュ
Grand Cru
格付け100%(後述します)の畑で生産されたブドウからだけで作られたシャンパーニュ。
プルミエ・クリュ
Premier Cru
格付け90〜99%(後述します)の畑で生産されたブドウからだけで作られたシャンパーニュ。
格付け100%の畑で生産されたブドウと格付け90〜99%の畑で生産されたブドウを混ぜて作られたシャンパーニュもこの名称となります。
この他に生産者が独自に考える種別名称が使用される場合があります。

ベレッシュ ブラン・ド・ブラン ベレッシュ ブラン・ド・ノワール ベレッシュ ロゼ

生産者番号

シャンパーニュ全体でブドウ栽培者は15,000とも20,000とも言われる数が存在していますが、そのうちの約5000で収穫されたブドウからシャンパーニュを生産しており、残りがブドウ栽培のみを行い収穫したブドウを売却していると言われています。

そのシャンパーニュを生産している生産者(業者含む)にそれぞれ固有の番号が与えられており、その番号の最初の二文字でその生産者の業態が以下のようにわかるようになっています。

略号 正式名 説明
NM Négociant manipulant ネゴシアン・マニピュラン。多くの場合は自社畑も所有しているものの、各地のブドウ栽培者からブドウを購入し醸造を行う業者のこと。
多くの有名ブランドがこれにあたります。
RM Récoltant manipulant レコルタン・マニピュラン。ブドウ栽培者兼醸造者のことで、シャンパーニュ全体で約5000あるといわれ、全生産量の1/3を占めるとされます。自らが栽培したブドウのみで自ら醸造を行っています。
いわゆる小規模生産者と呼ばれており、そのままRMが愛称となっています。
CM Coopérative de manipulation コーペラティヴ・ド・マニピュラシオン。組合員が栽培するブドウから醸造を行う協同組合のこと。
RC Récoltant coopérateur レコルタン・コーペラテュール。栽培者自らが栽培したブドウを協同組合で醸造し、出来上がったシャンパーニュを自身で販売する栽培者のこと。
SR Société de récoltants ソシエテ・ド・レコルタン。同族内で栽培したブドウを共同で醸造し販売する組織のこと。
市場では余りみられません。
ND Négociant distributeur ネゴシアン・ディストリビュテュール。他の業者が醸造し出来上がったシャンパーニュを購入し、自らのブランド名で販売する業者のこと。
MA Marque d’acheteur マルク・ダシュテュール。業者が醸造し出来上がったシャンパーニュを購入し、醸造業者とは無関係なブランド名で販売されるシャンパーニュのこと。
スーパーのPV商品などで見られます。

生産地

東西約150km、南北約190kmに及ぶ範囲で現在約34,000ha余りの畑が耕作されていますが、その畑は大きく分けて6地域にまたがって存在しています。

シャンパーニュ地方のブドウ畑分布図

生産地域

モンターニュ・ド・ランス (Montagne de Reims)
約9,500ha
モンターニュ・ド・ランス (Montagne de Reims)
ランス(Reims)とエペルネ(Epernay)を結ぶ円弧に沿った丘陵地帯に広がる産地。
白亜質土壌が広がり、西部と北部ではピノ・ムニエが、東部と南部ではピノ・ノワールが主に栽培されています。
なお東部と南部に名高いグラン・クリュが広がっています。
マシフ・ド・サン・ティエリー (Massif de Saint-Thierry)
または、ヴァレ・ド・ラ・ヴェール (Valée de la Vesle)
シャンパーニュ地方の中でも最北部に位置する産地。
白亜質土壌が広がる畑には、主にピノ・ムニエが栽培されています。これはピノ・ムニエが早めに収穫可能なことによるものです。
ヴァレ・ド・ラルドル (Vallée de l’Ardre)
シャンパーニュ地方の中でも最も寒冷な気候の産地と言われています。
白亜質と粘土質が混じる土壌に、主にピノ・ムニエが栽培されています。これはピノ・ムニエが早めに収穫可能なことによるものです。
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ (Vallée de la Marne)
約8,500ha
エペルネ(Epernay)からマルヌ川とその支流に沿って広がる産地。
東部から中央部までは白亜質土壌、中央部から西部には石灰質土壌が広がり、東部から中央部では主にピノ・ノワールが、そして中央部から西部では主にピノ・ムニエが栽培されています。
コート・デ・ブラン (Côte des Blancs)
約3,500ha
エペルネ(Epernay)から南に向かって丘陵地帯の斜面に広がる産地。
極めて決めの細かい白亜質土壌が広がり、南部の一部ではピノ・ノワールが見られるものの、ほとんどの畑でシャルドネが栽培されています。
コート・デ・バール (Côte des Bars)
約8,500ha
シャンパーニュ地方の最南端、ブルゴーニュの最北端とほぼ隣接する産地。
シャブリと同じキンメリジャン土壌の広がる畑には、主にピノ・ノワールが栽培されていますが、シャルドネや他の品種も栽培されています。
栽培面積8,000ha以上とかなりの面積を占めるにも関わらず、1908年のシャンパーニュ指定産地確定の際にはずれてしまったという歴史があります。
プティ・エ・グラン・モラン (Petit et Grand Morin)
約3,000ha
コート・ド・セザンヌ (Côte de Sézanne)
エペルネ(Epernay)から南南西約50kmの丘陵地帯にある産地。
白亜質と粘土質が混じる土壌に、コート・デ・ブランと同じく多くのシャルドネが栽培されています。
コンギ・ヴィルヴナール (Congy-Villvenard)
エペルネ(Epernay)から南南西約30kmの奥まった丘陵地帯にある産地。
白亜質と砂質が混じる土壌に、ピノ・ムニエが多く栽培されており、一部にシャルドネが見られます。
コート・ド・シャンパーニュ (Côte de Champagne)
約500ha
モングー (Montgueux)
または、トロワ (Troyes)
トロワの西約5kmにあ、その昔シャンパーニュ伯爵の所領であったという由緒ある島状の産地。
白亜質土壌の広がる畑には、主にシャルドネが栽培されています。
ヴィトリー・ル・フランソワ (Vitry-le-François)
19世紀に一旦消滅したものの1990年代から再興の始まった産地。
白亜質土壌の広がる畑には、ほぼシャルドネのみが栽培されています。

格付け

ボルドーではシャトー単位、ブルゴーニュでは区画単位で格付けが行われていますが、シャンパーニュ地方では村単位で格付けが行われています。つまり栽培単位を「村」とし、その一つ一つに対して格付けが行われているのです。この格付けでは、各村に対し80〜100%までのパーセンテージでの格付けが行われ、このパーセンテージに応じた価格でブドウの取引価格が算出される仕組みとなっています。

つまり絶対的な格付けではなく、相対的な格付けとなっているため、この点がブルゴーニュの格付けとは決定的に異なるとも言えるでしょう。

村単位で格付けされているとはいえ区画が存在しないわけではなく、区画は実際に存在しており、生産者によってはそれを明示している場合があります。

例)クリュグ クロ・ダンボネ (Krug Clos d’Ambonnay), クリュグ クロ・デュ・メニル (Krug Clos du Mesnil), フィリポナ クロ・デ・ゴワス (Philipponnat Clos des Goisses)
フィリポナ クロ・デ・ゴワスの区画

この格付けの中で100%の格付けが行われた村はグラン・クリュ(Grand Cru)17ヶ村、90〜99%の格付けが行われた村はプルミエ・クリュ(Premier Cru)44ヶ村となっています。以下がそのリストです。ぜひご覧ください。

グラン・クリュの位置と主な畑の向き
グラン・クリュの位置と主な畑の向き

グラン・クリュ(100%格付け)
村名 村名(仏語) 備考
モンターニュ・ド・ランス (Montagne de Reims)
アンボネ Ambonnay
ボーモン・シュール・ヴェール Beaumont-sur-Vesle
ブジー Bouzy
ルーヴォワ Louvois
マイィ・シャンパーニュ Mailly-Champagne
ピュイジュー Puisieulx
シルリー Sillery
ヴェルズネ Verzenay
ヴェルジィ Verzy
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ (Vallée de la Marne)
アイ Aÿ
トゥール・シュール・マルヌ Tours-sur-Marne 黒ブドウのみグラン・クリュ
コート・デ・ブラン (Côte des Blancs)
アヴィズ Avize
シュイィ Chouilly 白ブドウのみグラン・クリュ
クラマン Cramant
ル・メニル・シュール・オジェ Le Mesnil-sur-Oger
オジェ Oger
オワリィ Oiry
プルミエ・クリュ(90〜99%格付け)
村名 村名(仏語) % 備考
モンターニュ・ド・ランス (Montagne de Reims)
ベザンヌ Bézannes 90%
ビリー・ル・グラン Billy-le-Grand 95%
シャムリー Chamery 90%
シニー・レ・ローズ Chigny-les-Roses 94%
コルモンリュイユ Cormontreuil 94%
クーロム・ラ・モンターニュ Coulommes-la-Montagne 90%
エキュイユ Ecueil 93%
ジュイ・レ・ランス Jouy-lès-Reims 90%
レ・メノー Les Mesneux 90%
リュード Ludes 94%
モンブレ Montbré 94%
パルニィ・レ・ランス Pargny-les-Reims 90%
リリー・ラ・モンターニュ Rilly-la-Montagne 94%
サシー Sacy 90%
セルミエール Sermiers 90%
テシー Taissy 94%
トシエール・ミュトリー Tauxières-Mutry 99%
トレパイユ Trépail 95%
トロワ・ピュイ Trois-Puits 94%
ヴォードマンジュ Vaudemange 95%
ヴィルドマンジュ Ville-Dommange 90%
ヴィレール・アルラン Villers-Allerand 90%
ヴィレール・オ・ヌード Villers-aux-Noeuds 90%
ヴィレール・マルメリ Villers-Marmery 95%
ヴリニィ Vrigny 90%
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ (Vallée de la Marne)
アヴネイ・ヴァル・ドール Avenay Val d’Or 93%
ビスイユ Bisseuil 95%
シャンピヨン Champillon 93%
キュミエール Cumières 93%
ディジィ Dizy 95%
オーヴィレール Hautvillers 93%
マルイユ・シュール・アイ Mareuil-sur-Aÿ 99%
ミュティニー Mutigny 93%
トゥール・シュール・マルヌ Tours-sur-Marne 90% 白ブドウ向けの格付け
コート・デ・ブラン (Côte des Blancs)
ベルジェール・レ・ヴェルチュ Bergères-les-Vertus 95% 白ブドウ向けの格付け
90% 黒ブドウ向けの格付け
シュイィ Chouilly 95% 白ブドウ向けの格付け
キュイ Cuis 95% 白ブドウ向けの格付け
90% 黒ブドウ向けの格付け
エトレシー Etrechy 90% 白ブドウ向けの格付け
グローヴ Grauves 95% 白ブドウ向けの格付け
90% 黒ブドウ向けの格付け
ピエリィ Pierry 90%
ヴァル・デ・マレー / コリニィ Val des Marais / Coligny 90% 白ブドウ向けの格付け
ヴェルチュ Vertus 95%
ヴィルヌーヴ・ルネヴィル・シェヴィニィ Villeneuve-Renneville-Chevigny 95%
ヴォワプルー Voipreux 95%
更新履歴
2014/02/22 誤記を修正
2014/02/09 格付けの説明に一部付記
2014/01/25 種別名称により正確を期すための説明を付記
2014/01/24 プルミエ・クリュの格付けを追加し備考を更新
2014/01/19 グラン・クリュの位置と主な畑の向きの地図を追加

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5 thoughts on “シャンパーニュのwikiより詳しい簡単なまとめ[2]

  • 平木 康夫

    どのように100%かそうでないかを決めるのでしょうか?昇格・降格はあるのでしょうか?また村の中でも突出した畑と凡庸な畑も同じ価格なのでしょうか?

    • hirok_k
      hirok_k Post author

      100%かどうかではなく、最も良い村を100%として相対的な評価として算出されています。
      また昇格・降格も現在のところ知る限りではありませんが、ご指摘の通り、
      村の中の良い畑とそうでない畑の違いがこの制度では差がないことになりますので、
      ブルゴーニュのような畑をメインとした格付けを行おうという動きがあります。
      村という大きなくくりではなく、畑、または区画ごとの格付けが行われることになれば、
      非常に興味深いことになると見ています。
      ただ1つ大きな問題があるとすれば、大手NMかなと睨んでいます。