こん**は、ブルゴーニュの区画図を見ているだけで何時間も遊ぶことができる@hirok-kです。
Puligny-Montrachet(ピュリニー・モンラッシェ)といえば、ブルゴーニュの白ワイン好きにとっては話題に事欠かない村ですが、そこにあるLes Demoiselles(レ・ドモワゼル)という区画は、グラン・クリュChevalier-Montrachet(シュヴァリエ・モンラッシェ)の区画名であるだけでなく、Puligny-Montrachet(ピュリニー・モンラッシェ)のプルミエ・クリュ(1級畑)にも同じ名前の区画名としていくつかの生産者がリリースしており、少々わかりづらい区画でもあります。そこで備忘録かねて、まとめてみました。
なお、特に記載のない限り、面積表示は小数点以下3桁目を四捨五入しています。
Les Demoisellesの概要
Puligny-Montrachet(ピュリニー・モンラッシェ)村にある区画Les Demoiselles(レ・ドモワゼル)は、グラン・クリュChevalier-Montrachet(シュヴァリエ・モンラッシェ)からプルミエ・クリュLe Cailleret(ル・カイユレ)にまたがる区画で、面積は計1.63ha(グラン・クリュが1.03ha、プルミエ・クリュが0.60ha)となっています。
グラン・クリュ部分、プルミエ・クリュ部分と別れてはいますが、標高は250m〜280m、土壌は粘土質石灰土壌で、グラン・クリュ部分はChevalier-Montrachet(シュヴァリエ・モンラッシェ)のすぐ北側、またプルミエ・クリュ部分はMontrachet(モンラッシェ)のすぐ北側にそれぞれ位置しています。
なお、プルミエ・クリュ部分はLe Cailleretの中に入っており、BIVB(ブルゴーニュワイン委員会)の区画図にはLes Demoisellesの名前はありませんが、Montrachet側から数えて56畝目までがLes Demoisellesとなっています。
Les Demoisellesの歴史
Les Demoiselles、日本語に直訳すると「二人娘」ですが、その名前が示す通り、この名前は19世紀の所有者の二人娘にちなんで名付けられました。
1800年にBeaune(ボーヌ)の長を務めていたJean-Baptiste Voillot氏が、Le Cailleretを所有しており、二人娘のAdèleとJulieがこれを1820年に相続、この二人娘からLes Demoisellesの名前が生まれました。1846年2月に同じくBeauneのMoreau-Guillemot氏に譲られたと記録にあるそうです。1887年にはその相続人であったLeleu婦人とCoirier婦人がこの畑を所有していたものの、その後さらに所有者が変わりかの有名なLéonce Bocquet氏が所有、そして1913年Léonce Bocquet氏の未亡人から、Louis LatourとLouis Jadotがグラン・クリュ部分を購入することとなります。プルミエ・クリュ部分も同じくLéonce Bocquet氏の未亡人から、年代は不明ですがColin家とChartron家が購入したとされています。
ちなみにChartron家が購入したLe Cailleretは、1990年代までモノポールであったClos du Cailleretと呼ばれていました。
Les Demoisellesの所有者
前項で触れた歴史的な背景から、小さな区画でありながらも非常にわかりづらくなっています。
グラン・クリュ部分
Louisと名がつく2つの所有者
Louis LatourとLouis Jadotが取得したLes Demoisellesは、1939年にChevalier-Montrachetとして認められていますが、これは取得した際に«en Chevalier-Montrachet ou en Cailleret»とあったのがその根拠とされています。
それぞれの所有面積は下記の通りです。
Louis Jadot | Louis Latour | 合計 | |
---|---|---|---|
Chevalier-Montrachet «Les Demoiselles» | 0.5263ha | 0.5007ha | 1.0275ha |
参考:もう一つのChevalier-Montrachetの飛び地区画と空白地帯
Chevalier-Montrachet «Le Cailleret»とここでは呼ぶことにしますが、元々この区画はChartron家が所有していた区画で1974年にChevalier-Montrachetとして認められたという経緯があります。
このChevalier-Montrachet «Le Cailleret»ですが、現在の所有者は不明です。しかし、Chevalier-Montrachetの所有者とその面積から類推するに、Château de Puligny-Montrachetが所有し、そこを買収したDomaine de Montilleが現在の所有者ではないかと考えられますとなっています。
区画名 | 所有ドメーヌ | 面積 |
---|---|---|
Chevalier-Montrachet «Le Cailleret» | Domaine de Montille | 0.2523ha |
さらにChevalier-Montrachet «Le Cailleret»とChevalier-Montrachet «Les Demoiselles»の間には、空白地帯とも言うべき箇所がありますが、これはグラン・クリュとして認められる前にその空白地帯の表土をChartron家が所有していたこの«Le Cailleret»に移植してしまったことから、この空白地帯はグラン・クリュとしてどころか、いかなるアペラシオンすらも認められない土地となってしまったのだそうです。
なお現在、この空白地帯とChevalier-Montrachet «Les Demoiselles»の間の僅かな土地にブドウが植樹されているそうですが、一体誰が所有し、どんな名前でワインをリリースするのか、興味がつきません。
現在、Louis JadotとLouis Latourがこの空白地帯を所有しており、Louis JadotがVin de Franceとして« La Roche des Demoiselles »をリリースしています。
Louis Jadot | Louis Latour | 合計 | |
---|---|---|---|
Vin de France « La Roche des Demoiselles » | 0.0834ha | 0.0834ha | 0.1668ha |